テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

『俺ね、紘那ちゃんにちゃんと会って話したいことがあるの。渡したいものもあるしね』


急に真面目な顔を取り戻して澪君が言った。


『次のオフは…来週の水曜日…だけど紘那ちゃん学校だもんねぇ…むぅ、じゃあ11月の最初の週の土曜日とかは?』


私が数学の教科書を開く一方でスケジュール帳を開きながら唸る澪君は、シュミレーション動画なんかじゃなくて…。
私限定の澪君。


「あ、そこの土曜日…ちょうどバイトもなくて暇…かも」


壁に掛けられたカレンダーを捲り、澪君の言った日付に担当カラーの青色のペンでハートマークをつける。


『じゃあ、その日で………よぉーし、勉強しようかぁ』


再び画面に手を伸ばすと、ちょうど澪君が眼鏡をかけるところだった。


『どこが苦手なの?』


「えと…この問題」


私は携帯で分からない問題を映した。


『確率だね。まずはもう一回解いてみようか。俺も一緒に解いてみるから』


澪君はそう言うと、問題をノートに写した。

私はシャープペンを手に取り、机に向かう。
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