テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
箱から赤白青のボールを取り出す問題。
そんな状況なんて絶対ないのに、どうしてこの確率なんて求めなきゃいけないんだ。
私が破茶滅茶な計算をしている間に、澪君の『解けたぁ』と言う声と、シャープペンを置く音が聞こえた。
『紘那ちゃん解けた?』
「い、一応答えは…」
『じゃあ答え合わせしよう。
いくつになった?』
私はノートに目を落として、導き出した答えを読み上げる。
「−6分の27…?」
『……紘那ちゃん、結構重症みたいだね』
苦笑する澪君。
今度は恥ずかしさで顔が赤くなる。
『確率は「−」付かないし、分母が分子より小さくなることは無いんだよ』
私は真面目にノートに澪君の言ったことを写す。
『まずは、もっと簡単に確率を考えてみようよ。』
澪君はそう言って、机に何か並べ始める。
消しゴムと何かのハンコと、筒状の修正テープと鉛筆。
それぞれを器用に立たせると、澪君は顔を上げる。
『これはShootingのメンバーだと思って。これが蒼でこれが俺。それからこれが春と悠。』
澪君は並べた順に指差しながら名前を言った。
なんだかハンコが澪君だと思うと可笑しくなってくる。