テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
始まりの予感
11月。
初めて澪君に会ったあの日よりも、ぐんっと寒くなってきた。
木々の枯葉はもうほとんど残っていない。
落ちた枯葉も、都会ではすぐに掃かれ、取り払われてしまう。
時折揺れる枝が寂しそうで、寒そうだった。
私も先日クリーニングから受け取ってきたコートを羽織り、首にはふわふわのマフラーを巻いて完全防寒を徹底していた。
冷えるとよくお腹が痛くなってしまうので、人一倍気を遣ってしまう。
地元の倍以上も人がいる駅をすり抜けて、私は舗装されたコンクリートの道を歩く。
そして私は、澪君から教えてもらった住所を携帯の地図アプリに入力した。
あの時はタクシーだったから、いまいちよく道を覚えていないのだ。
あのビデオ電話のあと、私は「何名義で会うの?」と聞いた。
何か理由付けをしないと会えない関係。
私はそれをよく理解している。
澪君は、「んじゃ、ゲーム会で」と笑っていた。
だから今日の私のカバンには、澪君と対戦をするために持ってきたゲーム機やゲームソフトがいくつか入っていてとても重い。
でも、肩に掛かるその重みが妙に心地よいのもまた、事実だ。