テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
リビングに上がると、相変わらず綺麗な部屋が広がっていた。
私はコートを脱いで、澪君が渡してくれたハンガーに掛ける。
「紘那ちゃん今日の格好可愛いね」
澪君はちょっぴり照れくさそうに笑った。
だってこの服は、今日のために新調したのだ。
白のニットにワインレッドの膝上のキュロット。
澪君が雑誌で好みだと言っていた冬服をわざと選んだ。
なーちゃんのご厚意で、なーちゃんの友達のモデルさんにもコーディネートをチェックしてもらった。
「あ、ありがとう」
私もなんだか恥ずかしくてそっぽを向いてしまう。
「あ、あの!」
「あのさ」
少しの間の後に、二人の声が重なる。
「紘那ちゃん、先いいよ」
「いや、澪君先いいよ」
「あ、じゃあ…これ」
譲り合いの結果、澪君が動きだす。
いそいそと持ち出してきたのは小さな白い紙袋。
差し出されたそれを、私は両手で受け取った。