テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

「この前さ、ロケの後にメンバー全員でスカイツリー登ってきたんだ。これ、お土産ね」


澪君は「開けてみて」と私を目で促した。


私は袋が破れないように丁寧に封を開く。
中に入っていたのは紅葉柄のシュシュだった。
紅く色づいた葉が生地全体に散りばめられていて、とても綺麗だ。


「可愛いっ…ありがとう」


「いいえー」


今度は澪君が恥ずかしそうにそっぽを向いてしまう。

私は両手で大事にシュシュを包み込んだ。
嬉しくて、胸が熱くなる。

だって、澪君がプライベートでいる時に私のことを思い出してくれて、こうやってお土産を選んでくれたと思うと、なんだか幸せな気持ちでいっぱいになるのだ。
相変わらず澪君の免疫が無い私は、顔がにやつきそうになるのを必死に堪える。
幸せに酔ってふらつきそうになるのを懸命に堪える。
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