テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
声で分かっていたため身構えることができた私と、私を見つけて硬直する3人。
3人の横にはため息をつく澪君。
「えーっと。こ、この子は?」
蒼君が首をかしげる。
春翔君と悠君の頭上にもはてなが浮かんでいる。
「……ばれちゃったら仕方ないかぁ」
茶色の髪をくしゃっとかき上げながら澪君ははぁっと息をつく。
「この子は俺のす」
「私は澪君のゲーム友達です!!」
私は思わず澪君の言葉を遮った。
直感で、そうしなくちゃいけないと思ったのだ。
「夏村紘那といいます。
Shootingのファンです!
澪君にはこの前のコンサートの後、困ってるところを助けてもらっちゃって」
勢いよく話す私に4人はしばらくぽかんとした顔をしていたが、やがて澪君を除いた全員が柔らかい表情を取り戻した。
「そーかそーか!いつも応援ありがとうな!」
春翔君は私に近づくと、にこにこと笑いかける。
それに蒼君が続く。
「ゲーム友達ってことはゲーム好きなの?」
蒼君が小さな私のことを覗き込む。
「あ、はい!!好きです」
へらへらと笑顔を返す私。
悠君は、さっき4人だけだった時の雰囲気が嘘だったように消え、つんとした表情で私を眺めていた。
澪君はポケットに手を入れて、不機嫌そうに何か口をパクパク動かしている。
何を言っているのかは分からなかったけれど。