テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

「俺たちはさ、個人戦じゃないじゃん?Shootingっていう団体なわけよ」


持ち手に三毛猫の模様があしらわれた菜箸で鍋の中をぐるぐるとかき混ぜながら、蒼は続けた。


「だから、誰か一人に何かあると連帯責任になって、せっかく大きくなりつつあるShootingが壊れちゃうんだよ。」


蒼の見つめる先に視線をやる。
ゲームの取り合いをする春と悠の笑顔が見えた。


「俺は澪ちゃんの幸せを応援する。でも、上手にやっていかなくちゃいけないね」


それはつまり、周りに「絶対にばれるな」ということ。
当たり前だ。
よく分かってる。
だって、俺もShootingの勢いを止めたくないから。
でも、それと同じくらい紘那のことを諦めたくない。


「うん。そうだね」


俺はそれだけ返してパスタのソースを作り始めた。

そんな俺の姿に満足した蒼は再び鍋に向き直った。

皮を剥いたトマトを切って、作り置きのミートソースに合わせる。
フライパンで、砕いたクルミを加えてさっと熱を加えた。

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