テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
自分の他に誰もいない部屋で、私はべーっと舌を出す。
りんりんと飼い猫の「ましゅ」の首輪の鈴の音が廊下を通り過ぎていく。
『じゃあ、午前11時に塾の前で。財布忘れんなよ』
プツン
切れた。
なんだよあいつ、自分勝手で。
なに一丁前に人のこと誘ってんだよ。
それにしても困ったなぁ。
ライブの次の日は疲れて出かけたくないのに。
ま、あとで断ればいっか。
私はベッドから立ち上がると、階段を軋ませながらリビングに水を飲みに向かう。
数分もするとさっきの電話のことはすっかり澪君のライブのことに覆い隠された。