テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
紗乃は私の方に向き直ると、ぺこりと頭を下げた。
「私のとんだ見当違いだった。
それに、正直、紘那が澪君と付き合うことになったってこと、信じてなかった。
私、紘那の友達失格だよね…。
自分の考えで勝手なことばっかり言って。
紘那の幸せを一番に考えてるつもりで、そうじゃなかったんだもの。
ごめんね、紘那」
紗乃の言葉には、涙が入り混じっていた。
今まで見たことない紗乃の涙。
なんで泣いてるの…?
「なんで謝るの?
紗乃はいつもこうやって私を心配して、慰めてくれるじゃん。紗乃以上の友達なんて、いないよ」
私は紗乃を抱きしめた。
澪君とこうすると優しくなれるように、私も紗乃に、自分の気持ちを伝えたかった。
紗乃も私に抱きつく手に力を込めた。
「紗乃、泣き顔ブサイクだよ」
私はくすくす笑いながらハンカチを差し出した。
紗乃は一瞬、驚いた顔をして、それから顔をほころばせた。
「紘那もね」
2人で顔を合わせながらお腹を抱えて笑う。
「泣き顔ブサイク」の意味は、「いつも笑ってて」だってこと、私はやっと気づけたんだ。