テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
「…俺、紘那に嫌われたかもしれない」
私が中丸の前に立つと、彼はぽつりと呟いた。
私は中丸のすぐ隣の壁に寄りかかる。
そして、1つ、大きなため息とともに、
「嫌われてるよ、ばっちりね」
そう正直に答えた。
中丸は幼さの残る愛らしい顔を沈ませていた。
「中丸さ、紘那のこと好きだったら、紘那の好きな人くらいちゃんと知って理解しろって言ったよね?」
私は馬鹿な格好をして盛り上がるクラスメイトの男子を横目に言った。
「うん、だからShooting好きになろうとしたんだけど」
「そうじゃなくて!!!」
私は中丸を遮った。
もう、全然伝わってないじゃんか。
「私は東雲澪を研究して真似しろって言ったの!紘那はね、東雲澪の、優しくて誠実で、適当に見えていろいろちゃんと考えてたり、頑張り屋だったり、そういうところが好きなの!
そしたらその中の1つでも取り入れてみようって気にならないわけ?」
まくしたてる私に、眉を八の字にした中丸は「でも…」と弱々しい声をあげる。
「俺はあの顔にはなれないよ」
はぁぁぁ。
だめだ、こりゃ。
もうため息しか出ない私に、中丸はますます情けない顔になっていく。