テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
【Hirona Side】
どんどん人がはけていく。
文化祭終了時間の3時半。
今日は簡単な片付け程度でこのまま帰り、後日、改めて文化祭の後片付けをする。
駄々をこねる小さい子が、お母さんに抱きかかえられて、美術部が作ったアーチをくぐっていく。
緊張した面持ちの中学制服の子たちも、他校の制服を着た女子高生たちも、みんなそのアーチをくぐって、ぞろぞろと外へ出ていく。
「打ち上げどうするー?」
余った焼きそばをパックに詰めていると、クラスメイトたちが文化祭後の恒例行事、打ち上げの話し合いを始めた。
「焼肉?カラオケ?」
「クラス全員がいいよな」
次々と人を加え、盛り上がっていく。
仲がいいなぁ。
「おつかれさまー!」
明るくはきはきした声で紗乃が戻ってきた。
妙にすっきりしたような、清々しい表情だ。
何かあったんだろうか。
「じゃあ、6時から、カラオケで!」
クラスの中心的な存在の女の子が私たち2人に声をかけた。
「はーい」と軽く返事をする。
本当は家でゆっくり澪君の出てるテレビ見たいんだけど、仕方ないよね。