テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
「カラオケに行く前にアイス食べたいね」
そう2人笑いながらやってきたのはちょっとした自販機コーナー。
ここにはアイスの自販機もある。
「はい、私決まった!」
紗乃がバニラアイスの写真を指差した。
「えぇーーーー」
私は自販機を見上げ、眉を八の字にする。
いつだって優柔不断な私は、こうやってたくさんの中から何かを選ばなくちゃいけないときが辛い。
チョコクッキーも美味しそうだし、期間限定のモモシャーベットも捨てがたい。
あ、ブルーベリーチーズケーキもある。
じーっと穴が開くほどアイスの写真を見比べる。
それぞれの味を想像すればするほど、さらに選びにくくなっていく。
「紗乃ぉ、これとこれとこれだったらどれがいい?」
こんなとき、最後に決めてくれるのはいつも紗乃。
紗乃は「モモ」と即答。
なんでこう、悩まないのかなぁ。
やっぱりかっこいいよ、紗乃は。
私の持ってないもの、たくさん持ってて、強くて、凛としてて。
「じゃあモモにする!」
紗乃が決めたものに間違いなんてない。
私たちは順番にお金を入れて赤く光るボタンを押した。
ごとん。
鈍い音を立てて落ちたアイスを取り出し口から
取り出すと、先に包み紙を剥いていた紗乃に続いて私も包み紙に手をかける。