テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
「ねぇねぇ、紘那。なにか欲しいものある?」
12月も半ば。
雪のちらつく学校の帰り道。
冬休みまであと1週間を切った。
いつの間にか、吹き付ける風は鋭さを増し、さらに身に染みるような寒さになっていた。
「え?特には…」
私は紗乃からの突然の問いに目を丸くする。
「えぇー?なんか絞り出してよ!
あと少しで誕生日なんだから」
あぁ、すっかり忘れてた。
クリスマス…12月25日は私の誕生日。
町中のクリスマスムードで、すっかり私の誕生日なんて霞んでしまう。
私自身忘れちゃうくらいなのに、紗乃がちゃんと覚えてくれていたことが嬉しかった。
「うーん…そうだなぁ、トートバッグとか?」
「そういえばこの前、紘那のバッグの持ち手千切れたもんね。おーけー!」
なんとか絞り出した私の「欲しいもの」。
紗乃は「楽しみにしてて!」と下手くそなウインクをした。