テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
【Mio Side】
「箱はこれにして、青のリボンをかけてください」
真っ白な異空間と、そこに並ぶガラスケース。
中にはさまざまなデザインの時計がディスプレイされている。
店員の人はにっこり営業スマイルで微笑むと、「すぐにご用意致します」と言って、カウンターの奥に消えていった。
今は撮影と撮影の合間の休憩時間。
ロケ場所が、ずっと目をつけていたショップの近くだったのがラッキーだった。
ドラマが放送され始めてから、自分でもびっくりするくらい仕事が増えて、最近はこうやって自由な時間を過ごすことも難しくなった。
それでも、昼飯を抜いてでもここに来たかった理由。
それは、紘那の誕生日。
紘那のSNSのアカウントで、俺は紘那の誕生日を知った。
まさか、クリスマスと同じ日だなんて。
知ったときは、お腹を抱えて大笑いした。
この前、紘那と文化祭で会った時、ベルトの部分がボロボロで、文字盤にも傷が刻まれた腕時計をしてるのを見た。
それ以来、紘那の誕生日には腕時計をプレゼントしようと、ずっと思い続けていたのである。
適当な理由をつけて、なんとか事務所に頼み込み、どうにか予定を開けることができた12月24日と25日。
この2日を使って、いつも寂しい思いをさせているであろう紘那に、最高の誕生日と、クリスマスを過ごしてもらうんだ。