テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
その後、私たちは、いくつかアトラクションに乗り、写真も撮って、充実した時間を過ごした。
いつどのときの澪君も嬉しそうに笑い、私もそれに負けないくらい楽しく笑っていたと思う。
彼が「東雲澪」であることがバレそうになると、お得意の変顔を使って切り抜けては私をさらに笑わせた。
それと同時に、周囲の目から守ってくれてもいた。
その心遣いと優しさに、私はさらに胸が暖かくなった。
パーク内は暗くなればなるほどクリスマスムードでいっぱいになってくる。
いつもはなかなか見れない光の数々は、私の目をキラキラと輝かせた。
赤、青、緑、白…様々な光が木々や建物を彩っていた。
「紘那!」
澪君にくいっと手を引かれて私は立ち止まった。
斜め上にある澪君の顔を見る。
キャップの下の眼鏡越しに見える瞳は、子供のようにキラキラと輝いている。
「どうしたの?」
「見てよあれ!!」
彼が指差す先を見た。
そこには大きなクリスマスツリーが飾ってあった。
ぐんと夜空に突き刺さるようにして伸びた幹。
てっぺんの星は、顔を上に向けなければ見ることができない。
様々な飾りを枝に飾られたツリーは、月明かりを受けて優しく照らされていた。
冷たい風がふわりと私たちをすり抜けていった。
「ね、写真撮ろ?」
澪君が携帯を取り出して、ツリーをバックに内カメラを私たちに向けた。
澪君はさりげなく顔を寄せてくるから、私はドキドキが止まらないのだ。
優しい笑みを浮かべる澪君。
ちょっと照れた顔をする私。
…幸せだ。