テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
いくまるに手を引かれたまま、私は家の前に辿り着いた。
まだ心の中が散らかっている。
いろんな感情があっちこっちに転がっていた。
拾おうとするのに、その手は止まる。
その繰り返しで、心の中は一向に片付かない。
「…なにか、わけがあるんだよ」
ポツリといくまるが呟いた。
濡れた目で彼を見上げると、いくまるはなんだか苦しそうな顔をしていた。
一言一言、絞り出すように喋るいくまる。
私はおとなしく耳を傾ける。
「きっと、何かの間違いだよ。だから、そんな悲しそうな顔するなよ」
な?といくまるは笑った。
そんな悲しそうな顔で笑われても説得力ないよ…。
「紘那は笑ってるのがいいって」
また来週。
彼はそう言って手を振りながら帰っていった。
あ。雪だ。
こんな時に雪が降っても全然嬉しくない。
綺麗だとも、ロマンチックだとも思えない。
どうせ降るなら、あの日に降ってくれればよかったのに。
そしたら、「綺麗だね」って、二人で笑いあえたのに。