テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
いつの間にか、私は眠ってしまっていた。
時計の針は夜の11時を通り過ぎていた。
私はゆっくりとベッドから這い出して、机の上の携帯を見た。
画面を開くと、『澪君』の文字がいくつも並んでいた。
私が携帯を机に置いて、シャワーを浴びに一階に降りようとした瞬間、再び携帯が鳴った。
おそるおそる携帯を覗き込むと、そこには『澪君』ではなく、いつしか連絡先を交換した『春翔君』からの着信だった。
私は思わず通話ボタンを押した。
いつも私のことを気にかけてくれていた春翔君なら、話を聞いてくれる気がしたのだ。
「もしもし」
自分でも情けない声だと思った。
『紘那ちゃん。なんや、そんな情けない声して』
いつもより明るさ控えめの春翔君の関西弁。
私の心が少し緩む。
『まぁ、そんなことやろうと思うてたわ。…あの話、聞いとるんやな?』
「うん」
ふぅーっと電話の向こうで春翔君がため息をつく音が聞こえた。