テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
俺たちは倉持緩と話をつけることに決めた。
かといって、全員で押しかけるのもおかしな話なので、俺と、顔見知りの蒼の二人で行くことにした。
春と悠に見送られながら、控え室を後にした俺たちは、エレベーターで4階まで上がった。
この階で、倉持緩の撮影が行われている。
『4階です』
エレベーターのアナウンスのあと、ゆっくりとドアが開いた。
「あれ!?Shootingがなんで?」
日高優恵だった。
エレベーターを待っていたところに俺たちが現れて驚いたのか、ぽかんとした顔をしている。
日高優恵が紘那と繋がっているのは俺も知っていたし、向こうもなんとなくそのことを察しているようで、「あ、もしかして倉持さん?」と彼女はヒソヒソ声で言った。
ものすごく頭の回転の早い、賢い子なのだろう。
「あぁ。控え室わかる?」
俺が聞くと、日高優恵は、「分かるけど…」と口ごもった。
「さっきからお取り込み中らしくて、撮影始まってるのに出てこないの」
日高優恵はそう言いながらも、俺たちを倉持緩の控え室の前まで案内してくれた。
「私はちょっと別の取材があるから、ここで」
日高優恵はにこにこと笑いながら手を振って、再びエレベーターの方へと歩いて行った。