テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
後から春翔君に聞いた話だけど、澪君はファンに私との交際を発表するのに、相当頑張ってくれたらしかった。
まずは事務所の所長に土下座。
最初は反対していた所長も、そんな澪君を可哀想に思って、少し条件付きだったが許してくれたそうだ。
「3時間くらい交渉してたで。ほんと、澪ちゃんの紘那ちゃん愛最強やな」
春翔君は笑ってそう言っていたが、のちに澪君が、「メンバーもみんな、頭を下げてくれたんだ」と説明してくれた。
その他にも澪君はいろいろなところに頭を下げて、この日の告白を許可してもらったようだった。
そこまでして私を大切に思ってくれる澪君。
やっぱり大好きだし、もちろん、これからも支えていきたいと思った。
でも、今私ができること。
それは勉強することだ。
「紘那が大学を卒業したら、すぐに結婚しよう」
私が澪君と同じ大学を目指しているということを話した時、澪君はそうはにかんでいた。
「そうしないと俺、30歳になっちゃう」
私が頷くと、彼は嬉しそうに笑ってくれていた。
これからもこの笑顔を隣で見られる。
私がこの笑顔を支えていける。
そう思うと涙が溢れた。
私の小指には、相変わらず「約束の指輪」が輝いていた。