テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
「それにしてもお子様ラーメンって…」
ハットを被ったままの彼はおまけのおもちゃを指差して笑いを堪えている。
「な、あ、あげますよ!こんなの」
私はクマの安っぽいキーホルダーが入った袋を向いに座る澪君の方へ押しやる。
ライブで一番近くても2メートル先にいる澪君が、ラーメン屋のテーブルごしにいるなんて、本当夢みたいだ。
「え、くれるの?ありがとう」
彼は袋からキーホルダーを出すと「可愛い」と言いながらうっとりと見つめる。
本当にそう思ってる?
彼のセンスに謎を覚えながら、私はお子様ラーメンセットの杏仁豆腐に手を伸ばした。