テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

「本当にごちそうさまでした」


東京へ向かうタクシーの後部座席。
私は澪君と一緒に揺られながら、頭を下げる。

一文無しの私は当然、澪君におごってもらう羽目になった。

墓場まで持っていかなければいけない恥が増えた。



「んーん。安いのでごめんね」



彼は肩を竦めて笑った。

私は首が千切れるほど横に振る。


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