テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

「あ、俺そういえば紘那ちゃんのこと覚えてたよ」



澪君は突然くしゃっと笑う。



「指差してのうちわ持ってた子でしょ?」




これは嬉しくてなんとも光栄なことだ。

私はニヤつく顔を押さえながら頷いた。



「失神するかと思いました」



私はなんとか言葉を紡いで答える。



「えぇ!?倒れなくてよかったぁ」



若干天然なんだなぁ…知らなかった。



大好きな澪君が隣にいて、

名前を呼んでくれる。



なんかもう、いつ死んでもなにも未練がない気がする。



澪君越しの車窓から見える夜景は、近所で一番有名なイルミネーションよりも、何倍もきらきらと輝いて見えた。

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