テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
おじゃまします

タクシーが止まったのは普通規模のマンションの前。

澪君はお金を払うとするりとタクシーから降りた。

くるくると辺りを見回してから、彼は私に「降りていいよ」と囁いた。



だいぶ楽になった足でタクシーから降り立つと、澪君は私の方へ歩み寄り、マンションの入り口へ誘導してくれる。

私は澪君の少し後ろをちょこちょこと歩く。
自然と忍び足になる私に、振り返った澪君はおかしそうに笑う。


エレベーターに乗り込むと、隣で澪君はふぅっと息をついた。



アイドルだもん、神経使って疲れるよね。


しかも今日は私もいたし。


ライブ後で疲れてるはずなのに、悪いことしたなぁ。

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