テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
バスルームの扉を開けると、澪君が言っていた通り、バスタブには透明なお湯が張ってあった。
さすがにお湯に浸かるのは気が引けたので、私はシャワーだけお借りすることにした。
栓をひねると温かいお湯が冷えた私の体を包み込み、ほぐしていく。
髪を洗って、顔を洗う。
やっぱり夢じゃないんだなと、改めて実感する。
シャワーでさっぱりした私は借りた服を着た。
下は多分、澪君が中学生の頃に使っていたジャージだろう。
上はどこかで見たことのある七分袖のシャツ。
優しい柔軟剤の香りがシャンプーの香りと混ざって鼻腔をくすぐる。
これが澪君の香りなんだなぁと思いながら、私はバスタオルで髪を拭き、綺麗にたたんで洗濯カゴに片付けると、リビングへと戻った。
「おかえり」
顔を出すと、メガネをかけて何かをソファで読んでいた澪君が顔を上げた。
インテリ系の澪君!
かっこいい!!!