テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
ゲームを立ち上げると、案の定最後のダンジョンの途中でセーブしたところで終わっていた。
私はキャラクターの技やステータスを確認すると、慣れた手つきで操作し始めた。
このRPGはストーリーもとても素敵で、書籍化されるほどの感動作である。
ちなみに私のお気に入りでもあるこのゲームは、3回はクリアした。
だからダンジョンの地図はだいたい頭に入っている。
ラッキーだ。
思ったよりもキャラクターが育っていたおかげで、私は15分足らずでダンジョンを抜け出した。
あとはラスボスを倒してエンディングを迎えるだけである。
せっかくだから、そこは澪君自身でクリアしてほしい。
ゲーム機をテーブルに置くと、私は冷たくなったホットティーをそっと口にした。
大人ぶってストレートで飲んでみる。
紅茶の渋みが口いっぱいに広がって、私は紅茶の本当の味を知った。