テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
私はもぞもぞとベッドから抜け出す。
私が寝かされていたのは澪君の寝室らしかった。
ここも綺麗に片付いた部屋だった。
机も椅子も、みんな木製で温かみがある。
私はドアノブに手をかけると、澪君の部屋から廊下に出た。
優しい朝ごはんの匂いが濃くなる。
昨日の記憶を頼りにリビングを目指して歩く。
「おはよう紘那ちゃん」
リビングに入ると、エプロンをして朝ごはんの支度をする澪君の姿があった。
「おはよう澪君」
まさか、私がテレビの向こうにいた人に「おはよう」を言ってもらえるなんて………
まだ夢を見ているような感覚にとらわれながら、私は澪君が引いてくれた椅子に遠慮がちに座った。
綺麗に畳まれた毛布がソファに置いてあるところを見ると、澪君は昨日ソファで寝たようだ。
体大丈夫だったかな…
疲れてるのに本当に迷惑かけてるなぁ、私は。