テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
少しずつ分かってきた澪君の家の間取り。
私は洗面所で冷たい水で顔を洗う。
畳んで積まれていたタオルを一枚借りて顔に当てる。
ふわふわとした感触と澪君の香りが心地よかった。
私は携帯して持ち歩いているクシで寝癖を直し、借りた服に着替えた。
ジーンズは少し裾を捲ると丁度良い丈になった。
それに対してパーカーはちょっと大きめ。
これはきっと澪君のだろうな。
私がリビングに戻ると、木目の綺麗なテーブルの上は賑やかになっていた。
ご飯、味噌汁、目玉焼き、サラダまで。
どことも変わらない一般的な食卓。
これを澪君が作ってくれたと思うと、食べるのがすごくもったいない。
薄いカーテンから漏れる淡い光が私たちを包み込む。
たまに入る秋の風で彼の髪はふわふわと揺れる。