テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
「食べよっか!」と私を椅子に座らせると、彼は手を合わせた。
「いただきます」
重なる声に胸が熱くなる。
なにこれ、付き合ってる超えて家族みたい。
箸を片手に目玉焼きに手を伸ばそうとする。
「あ、何かつける?紘那ちゃんは何派?」
「……んと、塩です」
私はテーブルに置かれていた小洒落た瓶に入った塩に目を落とした。
「一緒だ!俺も塩派」
澪君は私に塩の瓶を手渡した。
ちょっとした共通点が嬉しかった。
一口、塩を振った目玉焼きを口に運ぶ。
半熟に焼いた卵の黄身の甘さと、少しの塩気が口いっぱいに広がった。
美味しい。
憧れの人の手料理。
涙が出そうだ。