テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
「そういえば、昨日ゲームありがとう」
美味しそうにご飯を食べながら彼は言った。
そういえば置きっ放しにしちゃったんだった。
「んーん、最後は自分で頑張ってください!
すごく泣けるので」
「紘那ちゃんも泣いた?」
「泣きました。ぼろぼろです」
私は少し身を乗り出して頷く。
「今度一緒にまたゲームしたいね」
彼は私にも聞こえるか聞こえないかの声で囁く。
「俺さ、駅で会ったこと、偶然じゃないと思うんだよね」
秋の風に遊ばれたカーテンがひらひらと視界をちらつく。
「だからさ、友達になろうよ」
そう言って澪君が取り出したのは携帯電話。
「交換してもいい?」
まさか向こうから言ってくるなんて…!
実は連絡先を聞くタイミングをずっと見計らっていたのだ。
もちろん、断られるのを前提に。
あんなに遠くにいる人だったのに、一気に友達の距離まできてしまった。
私は首を縦にぶんぶんと振りたいところを少し控えめに頷いて笑うと、私も携帯電話を取り出した。