テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
夏休み終盤に差し掛かった今日の夕暮れ。
紗乃が帰ってしまった私の部屋は今、幸せで満ち溢れている。
「当たったぁぁぁぁ!!!」
横浜アリーナでの10月のライブ。
当選発表がそろそろだったのもあって、ずっと気になっていたのだ。
携帯電話に届いた「当選メール」がキラキラと輝いて見える。
どんな格好をしていこう。
アルバムたくさん聞いて覚えなくちゃ。
うちわ作らなきゃ。
グッズのお金貯めなきゃ。
嬉しくて畳の上に置かれたベッドの上で飛び跳ねる。
「うるさい!!!」
お母さんの怒鳴り声で私は我に返った。
お母さんはやっぱり怖い。
時計を見るとそろそろ塾の時間。
私はカバンを肩に掛けて部屋を出る。
「行ってくるね」
居間でテレビを見るお母さんに声をかけて、私は外へ出た。