テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
ただいま
結局、自宅の最寄駅に着いたのは日が暮れてからだった。
最寄駅からそう離れていない我が家には、もちろん歩いて帰る。
少しずつ瞬き始めた星が眩しくて、愛おしい。
東京の星よりもずっと綺麗だ。
街灯に照らされてできた私の影と競争をするように、私は少し早足で歩いた。
「ただいま」
ガラガラと少し建てつけの悪い引き戸を開けて玄関に入る。
リビングに顔を出すと、「おかえり」といつもと何も変わらない様子のお母さんが夜ご飯の支度をしていた。
よかった。
怒ってない。
「楽しかった?」
お母さんは顔を上げる。
「うん、すごく!」
お母さんが怒ってないことに心底安堵した私は笑顔で頷いた。