テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
「なーちゃんか。ノックくらいしてよー」
頬を膨らませる私に、なーちゃんは「まぁ、いいじゃないか」とアイスキャンデーを差し出す。
私の隣に座るなーちゃん。
私の姿をまじまじと見て、一言。
「それで、彼氏の家はどうだった?」
突然の問いかけに私は思い切り咳き込む。
にやにやとしたなーちゃんの眼差しが恐ろしい。
「ち、違うよ。彼氏じゃない…まず彼氏いないし」
慌てて訂正する私。
お母さんにも友達の家って説明したのに。
「あんたね、お母さんのことは騙せても私のことは騙せないよ」
アイスキャンデーをかじりながらさらににやにやを増した顔。
「そのパーカー。男物だよね」
私はなーちゃんの言葉で、澪君から借りた服をそのまま着てきてしまったことに気がついた。
なーちゃんはよく見てるなぁ。
それよりもこれ、どうしよう。
いろいろ考えて硬直する私をなーちゃんはツンツンつつく。
「姉ちゃんに話してみなよ。すっきりするぜ」
親指を立ててキメ顔をするなーちゃんは、やっぱり変。