テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

何度も目覚ましを止めてからじゃないと起きれなかった私は、ここ数日で随分と早起きになった。

それは毎朝の楽しみがあるから…

あれから毎日届く澪君からのメッセージは、いつも『おはよう』で始まって『おやすみなさい』で終わる。

おはようの時間は、朝の3時とか4時だったり、ほとんどお昼の時間だったりで、いつも不規則である。

澪君、忙しくしてるんだなぁと、私は改めて実感する。


『おはよう。
今日は朝から東京でロケ。寝みー』


3時半に送られていたメッセージ。
相変わらずの調子の澪君の文体。
今日もいつも通りだ。

一緒に送られてきたのは東京スカイツリーの写真。
移動の車の中で撮ったのか、携帯を構える澪君が窓に映り込んでいた。


私はぷっと笑いをこらえる。


きっとぶれないように気を使いすぎて、気づかなかったのだろう。

その姿を想像すればするほど愛おしくて、顔がにやついていく。


「なにその顔、気持ち悪い」


この声に顔を上げると、いつの間にかランニングから戻ってきたなーちゃんの姿があった。
眉間にしわを寄せて引きつった笑みを浮かべている。

私は顔を真っ赤にして、布団の中に隠れた。


「こら!もう起きなさいよー!!
今日はいつもより早く起こしてって、紘那が頼んだんでしょ!」


思い切り布団をはがされて、私はころんと足の短いベッドの下に落ちた。

そうだ。
今日は数学の補習で朝早いんだった。

私は慌てて立ち上がり、朝の支度を始める。

なーちゃんはいいな。
今日は昼から講義みたいだし。
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