テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
【Mio Side】
「澪ちゃーん!おーい!みーお!!」
蒼の声で俺は我に返った。
ロケ場所に行く車の中。
「次澪ちゃんやで?」
春が後ろの席から俺の頭をポスポス叩く。
なぜか突然始まったしりとり大会。
俺の番が回ってきたのだ。
「えと…前のなんだっけ」
ずっと考え事をしていてろくに聞いていなかった俺は、蒼に助けを求める。
俺は先日会った、夏村紘那のことが忘れられない。
何をするにも思い浮かぶのは紘那ちゃんの顔。
笑ったり、照れたり、泣いたり…表情が本当に豊かで、どの紘那ちゃんもキラキラしていた。
紘那ちゃんには、その辺の女優やモデルには無い何かがある。
屈託も裏表もない、純粋なその姿に、俺は惹かれてしまったのだ。
理由もなくメッセージを送ってしまうのも、きっとそのせいだ。