テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
しりとりの続きなんてそっちのけで盛り上がる会話。
みんなに紘那のことを話すのはまだ早い。
もう少し、俺の気持ちが整理されてから。
それからでも遅くないだろう。
「今日、午前中で仕事終わりだよね?」
斜め後ろから蒼の声が降ってくる。
「ん、そうだよ」
悠は珍しく後ろを振り向いて返事をする。
「じゃあ、みんなでスカイツリー登ろうよ!せっかくだしさ」
「ええなぁ!それ!!」
「俺も賛成」
蒼の提案に、春と悠が立て続けに賛成していく。
「澪ちゃんもええよな」
春に後ろから髪の毛をわしゃわしゃされる。
「わかったわかった。行こ行こ!…だからやめろって!」
俺は春をちゃんと座席に座らせる。
Shootingのこの雰囲気。
やっぱり壊したくないな。
でも、みんななら…
流れる車窓の向こうを眺めながら、俺はぼんやりと携帯の画面が光るのを待ち続けていた。