テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
『今家帰ってシャワー浴びたとこ。
紘那ちゃん、時間大丈夫?』
澪君からそう連絡が来たのは夜の10時を回った頃だった。
『大丈夫!よろしくお願いします!』
私が返事をしてから数秒後、すぐに澪君からの着信があった。
私はドキドキする気持ちを必死に抑えて、指で通話ボタンを押した。
『もしもし?』
画面はすぐにビデオ電話に切り替わる。
とろんとした甘い顔がそこには写っていた。
まだしっとりと濡れた柔らかそうな茶髪が、お風呂上がりであることを証明していた。
「もっ、もしもし!」
久しぶりの澪君との会話に声が裏返ってしまう。
ものすごく鈍臭い。
『こうやって話すの、久しぶりだね』
鼻にしわを寄せて目を細める澪君は、本当に可愛くて、これを見ているのは私だけなんだって思うと、とろけてしまいそうなほど幸せだった。
「もう話せないと思ってた」
私の答えに、画面の向こうの澪君がぽかんとした顔をする。
そして声に出して笑いだした。
『なんでぇ?俺、結構紘那ちゃんのこと気に入ってるのに』