スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-


到底笑えない状況に咄嗟にスマホを抱きしめるように身構えて辺りを伺う。

午後は日差しを浴びて気温の高くなった廊下の向こうに人の気配はない……気がするけど。

いたんたろうか。

それとも他のビルから望遠鏡を使って窓越しに?

だとしたら社内の人では……

いや、識嶋さんを社長の息子だとわかっている時点で社内の人間だ。

識嶋さんも同じ結論に達したのか、私を真剣な眼差しで見つめる。


「用心しておけ」


低く鋭い声に頷くと、帰りは一緒に車に乗っていくように言われて。

不安と恐怖に押しつぶされそうになりながらも、私は頷いて識嶋さんと二人、制作局へと戻ったのだった。


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