スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
翌日。
朝も識嶋さんのリムジンで会社まで送ってもらった私は、とりあえず帰宅までの間には異変なく過ごしていた。
幸い、ほとんどの社員は電車やバスで通勤しているので、地下駐車場に停まったリムジンから私が降りてきても見つかることはない。
それもあって、識嶋さんには帰りもリムジンを使えと言われたけれど、元々予定が入っていたのでお断りした。
だって、私も楽しみにしていたのだ。
西園寺さんと二人で食事に行くのを。
むしろこの為にここ数日は残業をこなしていたと言っても過言ではない。
明日は泊まり込みで仕事して、今日早く帰ってしまう分を調整するつもりだ。
定時で上がればこの辺りは人通りも多い。
食事したあとは距離的にタクシーを使えるし、帰りも危険な目には合わないだろう。
今日くらいは大丈夫。
そう信じて、私は仕事にとりかかった。
「ストーカー?」
楽しい会話がひと段落してデザートを食べていた時だ。
公衆電話から無言電話がかかってきた。
きっと”彼”だろうと思い、ストレスで無意識に溜め息を吐いてしまった私に、西園寺さんが心配してくれて。
その優しさに甘え、相談に乗ってもらったのだ。
ストーカーに付きまとわれていると。