スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
第3章
Floor 15
後輩の麻衣ちゃんは積極的な子だ。
何に対してもその姿勢は変わらず、失敗することを恐れずに果敢にアタックしていく。
恋に関しては当たって砕けろですと彼女は以前笑っていたけど、本当に砕けた時、一週間は落ち込んでしまって仕事も手につかない状態だった。
識嶋さんが東京本社に勤務となる少し前もそんな状態だったけど、最近はその傷も癒えたようで。
「識嶋さんはー、彼女いるんですか?」
現在彼女はカフェスペースでコーヒーを淹れに来た識嶋さんにとんでもない質問を振っていた。
相馬先輩とコーヒーを飲みながら軽い打ち合わせをしていた私は、カウンターに広げていた資料に危うくコーヒーを零してしまうかと思うほど驚く。
しかし、私の隣に座っている相馬先輩はというと。
「麻衣ちゃん勇気あるな」
どうやら楽しんでいるらしく、ニヤニヤと識嶋さんと麻衣ちゃんのやり取りを観察していた。
識嶋さんは興味なさそうに、湯気の立つコーヒーカップを手にして。
「さあ、どうだろうな」
適当に答えながら相馬先輩の向かい側に座る。
すると、後を追うようにコーヒーカップを両手で持ちながら麻衣ちゃんが私の前の席に腰を下ろした。