スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
ここは主寝室と言われる部屋なんだろう。
13帖ほどの広さがある部屋の中央より少し奥の方、オフホワイトの壁際に黒と白を基調としたベッドが設置されている。
よく見ると、ベッド脇に置かれているサイドテーブルも窓際にあるカウチソファーも黒。
シンセティックラタンのコーヒーテーブルも黒。
その他、クッションや観葉植物の鉢がベージュやオフホワイトで見た目の軽さを演出している。
私の使わせてもらっている部屋同様、リビングへ通じる扉とは別の扉を二つ見つけた。
多分バスルームとウォークインクローゼットだろうと考えていたら、識嶋さんが「ジャケット」と少し乱暴に口にする。
……脱がせろということだろうか。
もしかして、私をお手伝いさんか何かだと思ってる?
まあ、それならそれでやり易いかもと思いながら、私はベッドの前で立っている識嶋さんのジャケットに手をかけた。
幸い、ボタンはすでに外れているので簡単に脱がすことができた。
けれど、室内にハンガーが見当たらず、かといって無断でクローゼットを開けるのもよくないなと悩んでいたら。
「高梨」
突然、識嶋さんのハッキリとした声が私を呼んで。
はい、と答えるより早く。
彼の熱い手が、私の腕を強く掴んだ。