スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
テーブルには頑張って作った料理たち。
ひき肉たっぷりのミートソースパスタにグレープフルーツのサラダ。
鯛のソテーと野菜のピクルス、ワインのおつまみにチーズを各種。
テーブルの中央にはお花を飾ってある。
リビングに入り、それらが乗ったダイニングテーブルを目にした識嶋さんは。
「……今日、村瀬さんは休みだったか?」
と、不思議そうに私を見つめた。
「違いますよ。私が頑張りました」
「ああ、ストーカーの件が片付いた祝いか」
「それも違います。識嶋さん、今日は何の日でしょう」
投げられた質問に、識嶋さんはソファーに鞄を置きながら僅かに首を傾ける。
そして、少しの思案の後。
「……あ、誕生日か」
ようやく今日が自分の誕生日だということを思い出した。
「そうです。おめでとうございます、識嶋さん」
好きな人の誕生日。
少しだけおめかししようとお気に入りのフレアワンピースを着た私は、識嶋さんに座るように促して。
再びお祝いの言葉を紡ぐと、彼ははにかみながら「ありがとう」と声にした。