スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
第4章
Floor 21
御曹司なら、さぞかし盛大なバースデーパーティーを開くんだろう。
洋風の豪華な家を囲む広大な庭に敷き詰められた芝生の上には、真っ白なテーブルクロスがかけられたテーブルがいくつも並んで。
皺ひとつないそのシーツに乗るのは贅を尽くした料理たち。
ゲストは全員上流階級の人たちで、身を包むスーツやドレスも当然高価なもの。
その中で、識嶋さんが物怖じせず堂々と立っていることは想像は容易い。
けれど、私の想像に反して。
『あいつは昔から派手なことが好きじゃないらしくてなー』
識嶋さんは好んでパーティーを開いたりはしないのだと、先日社内で会った社長から聞かされた。
彼の誕生日から一週間。
私たちは少しぎこちなくはあったけど今まで通りに接しながら過ごしている。
その中で、パーティーを催すような気配を微塵も感じなかったので、それとなく尋ねたのだけど、続く社長の話では、識嶋さんは高校卒業し渡米してからは毎年身内で祝う程度だったらしい。
どうりで自分の誕生日を忘れるわけだと納得した私だったけど、派手なことは嫌いとは言っても会社が絡むと拒否はできないようで。
「高梨、ドレスは持ってるか?」
「何ですかいきなり」
「西園寺が主催する社交パーティーに出席することになったんだよ」
これから出社だというのに、識嶋さんはリビングのソファーにもたれながら、すでに疲れたような表情を見せつつパーティーに呼ばれていることを語った。