スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-


「すみません、麦茶のせいで」

「麦茶じゃなくて酒だろう。まったく、そもそも酒に弱いならもっと気を付けるべきだろう」


彼の指摘はごもっとも。

本来なら平謝りするところだけど、この件に関しては違うのだ。

お酒により気持ちが大きくなっている私は、ここぞとばかりに言い返させてもらうことにする。


「それはこっちのセリフですよー。泥酔して帰って来たかと思えば、押し倒してくれたのはどこの誰で、すか……」


声が尻すぼんでしまったのは、別に気持ち悪くなったからとかではない。

隣に座る識嶋さんの顔が、真っ赤になっていたからだ。


「識嶋さん、お酒飲みました?」

「……飲んでない」

「でも、顔真っ赤」

「これはお前のせい……いや、元はといえば俺が原因か……」


額に手をあてた識嶋さんは、耳まで赤くしている。

言い返されるかなって思ってたのに、まさかの反応。

ても、ちょっと可愛いななんて思ってしまって。


「ふふっ」


思わず笑ってしまう。



< 162 / 202 >

この作品をシェア

pagetop