スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
「すみません、麦茶のせいで」
「麦茶じゃなくて酒だろう。まったく、そもそも酒に弱いならもっと気を付けるべきだろう」
彼の指摘はごもっとも。
本来なら平謝りするところだけど、この件に関しては違うのだ。
お酒により気持ちが大きくなっている私は、ここぞとばかりに言い返させてもらうことにする。
「それはこっちのセリフですよー。泥酔して帰って来たかと思えば、押し倒してくれたのはどこの誰で、すか……」
声が尻すぼんでしまったのは、別に気持ち悪くなったからとかではない。
隣に座る識嶋さんの顔が、真っ赤になっていたからだ。
「識嶋さん、お酒飲みました?」
「……飲んでない」
「でも、顔真っ赤」
「これはお前のせい……いや、元はといえば俺が原因か……」
額に手をあてた識嶋さんは、耳まで赤くしている。
言い返されるかなって思ってたのに、まさかの反応。
ても、ちょっと可愛いななんて思ってしまって。
「ふふっ」
思わず笑ってしまう。