スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
──殺されてしまう。
狂ってしまいそうな恐怖が私を支配し、最後の抵抗とばかりにもがき力いっぱい抵抗するも、床に叩きつけられて痛みに顔を歪め瞼を閉じた。
くつくつと笑う声が聞こえて、うつ伏せで倒れ込んでいる私の背中にまたがった相手の体重がかかる。
逃れることは叶わないのだと絶望し、涙が溢れ落ちた私の耳に届いたのは。
「クズには吐き気がするな」
いつか私を救ってくれた時のように、嫌悪感をたっぷりと含ませた、彼の声。
2度目の奇跡に驚き目を見開くと同時。
背中にあった重みが消えて、私の隣には内山君……ではなく、記憶にない金髪の若い男が前のめりに倒れこみ、雨に濡れた識嶋さんによって後手に抑えつけられていた。
「なんっ、でここに! あんたは、お嬢が誘って」
よほど信じられない展開だったのか。
男はうっかり口を滑らせたようで、そこまで声にするとしまったと苦虫を潰したような顔になった。
それを聞いた識嶋さんは、先ほど男が私にしたようにガムテープを巻きつけていく。