スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
まだ空の色は濃紺のままで、朝日が昇るには暫くかかりそうな時間だけど、私と識嶋さんは食べずじまいだった夕食を口に運ぶ。
温め直したラタトゥイユをスプーンですくった直後、識嶋さんは咳払いをして。
「明日は、その……予定がない」
明日の予定を報告してきた。
明日は休日。
忙しい識嶋さんは休日も仕事に追われていることが多い。
なので、ようやくお休みがとれて良かったという気持ちで「そうなんですね」と笑みを浮かべた。
「だから、出かけようと思う」
「はい」
たまの休みに羽を伸ばすのは大切だ。
私は識嶋さんの為に夕食でも作って待っていよう。
返事をしつつ、頭の中でなんとなく予定をたてていたら。
「おい、気付け」
識嶋さんが眉間に皺を寄せて私を見ていた。
「え?」
「だから、デートしようかと言ってるんだよ」
いつもは冷静な識嶋さん。
けれど今はそんな態度も崩れて頬をほんのりと赤く染めている。