スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
──交渉は手応えのあるものだった。
こちらの熱意は伝わったと思うし、別れ際の監督の表情も悪く見えなかった。
返事は明日の夕方までにはもらえることになっている。
断られても食い下がるつもりだけど、いい返事がもらえらばいいなと、希望を胸にマンションに辿り着いた私だったけれど……
膨らんだ明るい願いはすぐにしぼんでしまった。
テンポ良く歩みを進めていた足もピタリと止まってしまう。
なぜなら。
「え……」
帰宅したマンションのエントランス前に
「こんばんは、美織ちゃん」
微笑みを浮かべた優花ちゃんが立っていたから──。