スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
彼女がこんな表情をするなんて、想像もしていなかった。
でも、パーティーの夜に見た優花ちゃんの冷たい瞳は、今の優花ちゃんからなら納得のいく姿だ。
「会社にとっての利用価値なら、私の方が明らかにあるわ。あなたは会社の利益より彼女を選ぶと言うの?」
「別に、あなたの家柄を利用しなくてもうちは揺るがない。俺が揺るがせない」
お互い、負ける気はないとばかりに言葉に遠慮がなくなってきている。
……いや、優花ちゃんの表情に余裕はない。
彼女は負けないように取り繕うので精一杯なのだろう。
そこに、識嶋さんがさらに追い討ちをかけた。
彼は私の左隣に並ぶと、右腕で私の肩を抱き寄せて、堂々と声を放つ。
「高梨は今、正式な俺の恋人だ。今後、俺の女に何かしようものなら、全力であなたを潰させてもらうのでよろしく」
真っ直ぐな、けれど最後は相手を黙らせてしまうほどの凍てつくような声で宣言した識嶋さん。