スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-


正式な恋人。


その言葉が、私の心を隙間なく満たしていく。

満たされて、幸せで、空も飛べそうで。

思わず頬が緩みそうになったと同時。


「……わかりました。失礼します」


優花ちゃんは白旗を上げたのか、鞄から携帯を取り出すと車をまわすように伝えた。

そして、車寄せスペースの方へと体を向け、歩き出したかと思えば、彼女はふとその足を止めて私を見る。


「美織ちゃん……。あなたじゃなければ、良かったのに」


さようなら。

これで、縁を切るのだと宣告するように別れの言葉を口にして……。

優花ちゃんは、迎えに来た黒いリムジンへと乗り込んだ。

世の中は、そう上手くはまわらないのだと痛感する。

私が、識嶋さんと関わりがなかったら。

優花ちゃんと私は、今も笑いあっていられたのだろうか。

答えは、NOだ。

優花ちゃんの口からあの男を差し向けたのは自分だという言葉は聞いてないけれど、優花ちゃんは私の話を聞いた時、すんなりと受け入れていた。

指示したのが優花ちゃんであるなら……きっと、いつか友人関係は壊れただろう。


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