スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
私の向かい側に座っているのは、相馬 孝太郎(そうま こうたろう)先輩だ。
28歳、独身。
健康的な浅黒い肌に、奥二重のシャープな顔立ち。
誰にでも気さくで面倒見のいい男性な為、女子社員からのウケもいい人だ。
相馬先輩は私と同じ制作局でコピーライターをしているので、こうして一緒にお昼に出ることが多い。
いつもは麻衣ちゃんや他の先輩たちも一緒なんだけど、今日は食べたいものが分かれたので私と相馬先輩の二人だけだった。
お冷を口にする先輩に私は尋ねる。
「いるって、どこにですか?」
「うちだよ。東京本社。多分社長室とかその辺りに籠ってるんだろ」
興味がなさそうな口調でテーブルに肩肘をついた先輩が教えてくれているのは、朝、話題に上がった社長の息子の話だ。
どうやら麻衣ちゃんが会いたがってる件の人はかなり近くにいるらしい。
「そうなんですね……。それにしても、先輩」
「ん?」
「詳しいですね」
「そりゃ、夕べ本人から聞いたしな」
「──え?」