スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
本人って……この場合、社長の息子……だよね?
固まった私の様子に、相馬先輩は目を丸くした。
「あれ、言ってなかったか? 俺、あいつとは幼馴染なんだよ」
「初耳ですよっ!」
私のツッコミに、先輩はツーブロックのベリーショートヘアをわしわしとかいて笑んだ。
「あー、そうか。まあ、そういうことだ。午後から挨拶があるとか言ってたけど……どうなるか……」
心配そうに眉を顰めた相馬先輩に、何がですかと私が問えば。
「多分、そのうちわかる」
苦笑いを浮かべ、丁度運ばれてきた生姜焼き定食を食べる為箸を手に取った。
私は、続いてテーブルに置かれた焼き魚定食を前に、何がわかるのだろうと再び首を傾げつつ、いい具合に焼けた魚に箸を入れた。
その、一時間後。
私は”彼”を見て目を見張った。
そう。”彼”が現れたのだ。
細身のスーツを着こなし。
「識嶋 玲司(しきしま れいじ)です」
私の職場に。
「本日より一年間、社内研修で制作局に配属となりました」
私の会社の上司として。
「どうぞよろしく」
家主である、彼が。